HABET
NFT・ブロックチェーンのなどは技術は、売買による利益目的の取引だけではなくもっと身近で安心して使えるもの、ということを知っていただくための、妄想と現実を織り交ぜたストーリーをお届けします。
アンコールの曲が終わり、席を離れる人の波が始まって夢の時間が過ぎ去ってしまったことを実感する。 余韻に浸るのもそこそこに、その波に合流して大急ぎで新大阪へ。 購入済みの新幹線グリーン車シェアチケットは、時間指定があるので絶対に乗り遅れるわけにはいかないのだ。[※1] 「ゆりあ、またね!今度こっちにも遊びにきて!」 地下鉄の乗り換え駅で、閉まりかけのドアのあちらとこちらで手を振る。 (次に会う時には、もっと全面的に幸せを応援する気持ちで彼氏の話を聞いてあげられたらいいな。
「ゆりあ!」 午前中の改札前は人の流れもまばらだ。手を振って歩いてくる親友の姿をすぐに見つけることができた。 リアルでは1年以上ぶりに会う高校時代の親友ゆりあは、数年前に転職していまは大阪に住んでいる。ただ、毎日のように推しメンについてのトークをしているのでまったく久しぶりな気がしない。 どうやらこちらが興味を持っていなかった頃は気を遣ってほとんどアイドルの話をしていなかったので気づかなかったけれど、実はゆりあの方が先にハマっていた。それを知ったのは、今回のチケットが当選し
新大阪の新幹線改札を出て、向かうのは在来線乗り場でも地下鉄乗り場でもない。タクシーのロータリーを探す。 先頭に止まっていた1台が気づいてすぐドアを開けてくれたので「ホテル送迎チケット利用したいんですが」と言うと「トランク開けますね。そこの端末に読み込みしてください」と、ドライバーさんが運転席から降りながら優しく案内してくれた。 ドライバーさんにスーツケースを渡して後部座席に乗り込み、助手席の背面にある端末にスマホをかざすと、ホテルの名前が表示される。[※1] 目的地を確認しま
窓の向こう側は暗く、車内の照明に反射してよく見えない。新幹線が東京駅を出発して早々に夜ご飯を食べ終わってしまい、手持ち無沙汰で外を眺めてみたもののすぐにやめてしまった。 目の前のテーブルには、生春巻きの空き箱と使い終わった割り箸が置かれている。売り場までは行ったのに、駅弁は買えなかった。 数えきれない種類の中から、みんなどうしてあんなにすぐに1つを決められるのだろう。 美味しいものは大概好きだし、嫌いなものも特にない。なのに、大量に並ぶ弁当の前に立って決めかねている自分の後ろ